アレンジフォントを作る その2

早速、私がM+ 1p Boldをベースにどんなフォントを製作しているのかをご紹介します。

まず全体のテーマですが、"少しごちゃごちゃしたゴシック体"という感じでしょうか。

ひらがな・カタカナ・漢字のグリフは、そのほとんどがM+のオリジナルを基調にしています。つまり、一瞬見ただけでは"これはごく普通のM+だな"と思われてしまうような書体です。さりげないカスタマイズが好きなので、あえてそのような感じにしています。

フォントの名前は、"Mikan UI"にしました。理由は2つあります。1つは、どうせM+から大きく変更しないから"M"を頭文字にしようと思ったから。もう1つは、自分の別名義として"orange"を使っているからです(まあMikanとOrangeは似てるようで全然違うんだけどね)。ちなみに"UI"の意味は特にありません。

半角英数字ですが、これに関してはオリジナルにする予定です。個人的には、HelveticaやUnivers、Akzidenz Groteskみたいな骨格のフォントが好きだからです。最初は既存のフォントを組み合わせようと思いましたが、ライセンスの関係でいいフォントを見つけることができませんでした。

ひらがな・カタカナは、あまり手を加えていません。こだわったのは"な"と"り"でしょうか。

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漢字はHelveticaのような雰囲気とは一変して、UD書体みたいなデザインにしています。"ゲタ"と呼ばれる漢字の装飾を削ることによって、視認性を向上させています。この作業を恐らく3000を超えるゲタ付き漢字グリフ全てに適用する必要がありますが、まだ全体の6分の1にも満たないほどしか出来ていません。クエー!

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一般的なUD書体は、FrutigerやMyriadのような現代的な英数字を採用していますが、先述したように"Helveticaのようなデザインにしたい"という願望があるこのフォントでは、一般的なUD書体とは、大きく思考が異なります。なので"ごちゃごちゃしたゴシック体"なのです。

思い立って製作を開始したのは、4日前の4月25日。ひらがな・カタカナのカスタマイズは1時間ほどで終了しましたが、そこからずっと漢字のカスタマイズをやっています。当然、まだまだ終わりません。先が見えない作業に心が折れそうです。フォント製作者がどれだけ苦労しているのか、少しでもわかったような気がします。